8月は臨時休診日があります。臨時休診日が8月13日(火)にだけになりますが、その前後に祝日と当院の定休診日とでつながっておりますので4日間休診となっております。
8月11日(日)山の日 休診日
8月12日(月)振替休日 休診日
8月13日(火) 臨時休診
8月14日(水) 休診日
8月15日(木)より通常診療
ご迷惑をおかけしますが、宜しくお願いします。
8月は暑さのピークになってくるはずですが、意外とこの時期は熱中症は少なくなります。なぜなら人間が暑さに我慢できなくなり、エアコンを入れる方が多いおかげと思われます。
ただ、それでも間違ってタイマーで停止させてしまったり、エアコンが入っていない部屋に誤って閉じ込めてしまったり、外出先で熱中症に動物がなることがあります。
犬側の問題としては心臓が悪い犬、気管虚脱や逆くしゃみを持ってる犬、肥満犬、顔がつぶれたような構造の犬(チワワ、シーズー、パグ、ペキニーズ、狆など)は熱中症が要注意です。
熱中症かどうかわからない時はもちろん病院に来ていただくのがよいのですが、そうはいかない状況も多いと思います。そうなると飼い主さんの判断、対処が重要になってきます。今回は細かいことは抜きにして、覚えやすい大事なポイントだけを記載します。
熱中症の症状はいろいろありますが、飼い主様の目の前で必ず起きる症状は呼吸が異常なほど早くなります。 なぜなら、犬猫は体温を下げるのに汗はほぼかきません。呼吸して熱を逃がすしかありませんので、呼吸が早くなり、そして空気を吸うよりも吐くのが多くなります。
但し、死亡する一歩手前は呼吸数が落ちます。こうなった時は呼吸がどうのこうのというより様々な症状(意識消失、血便、嘔吐等)がでてますので、間違えることはありません。
『はぁ?早いってどれくらいよ?』って思われた方。 簡単です。呼吸をまねしてください。真似するのが大変とかほとんどまねできないのならば早すぎです。 呼吸音もかなり大きな音になるのがほとんどです。ガッガッガッとかゲッゲッゲとか。
熱を測ってみるのもよいです。人間用の体温計で十分です。確実なのは動物病院でやっているように肛門から測定が一番正しいです。 犬の正常体温は37中盤から39度中盤まで結構な差がありますが、熱中症だけを疑うとしたら40度を確実に超えてきます。
しかし肛門から検温は稀ではありますが、体温計で直腸を傷つけたり、最悪、貫通させることがあります。←とんでもないことになります。
もし、非接触式の体温計をお持ちならば、私は単に熱中症だけの判断のための検温なら精度は劣りますが、非接触式の方が安全性でお勧めします。非接触式で高ければ、表面体温が高いなら、よほど直射日光を浴びてない限り、内部体温も高いはずなので、高熱になってると判断してもよいと思います。 逆に平熱や低い体温ならば、これは熱中症でないとは言い切れません。測定ミスの疑いもありますので、何度も測定したり、場所を変えて測定しなおしたり、本当に直腸検温にトライしてみるのがよいでしょう。
もしも熱中症と思われ、かつすぐに病院に行けない時の処置は当然ですが、冷やすことです。水は真っ先には与えないほうが無難です。なぜならば熱中症になっていると動物の場合、呼吸が100%早くなります。その結果口呼吸になり、そのせいで空気を飲み込み、胃の中や腸の中に空気がパンパンに貯めています。その状況で水を飲むと高確率で吐きます。吐くと脱水症状の改善どころかますます脱水しますし、誤嚥する可能性も高くなります。
氷水を飲ませて内部から体温下げるんやー!って・・・ それは人間の話。どうせ犬猫は舌でチマチマ飲みます。 体の中に入るころには水の温度は常温以上です。まったくもって水飲んで中からなんか冷やせません。 動物病院で動物の内部から冷やす場合は冷たい点滴や冷たい浣腸(最近はしませんが)をします。
なので人間とは違い、真っ先にやるのは体を冷やすことです。
そしていざ冷やす前に! 必ずやってほしいのは犬の今の状況を動画撮影してください。
10秒ぐらいでも構いません。これはのちのち病院に来た時にどのような状況になっていたかを獣医師が知るためです。
そして冷却処置。
冷やす方法は色々ありますが、モノがそろっている状況ならば、ベビーバスに水を張り、胴体が半分つかる位でお風呂に入れたり、水をかけ、扇風機で冷やしたり、保冷剤をあてがったりと色々できると思います。 お風呂が死ぬほど苦手な犬や極度の興奮状態の場合は水をべちょべちょになる位に含んだタオル(必ずべちょべちょレベル。水がしたたり落ちるレベル。絞ったりしないで)で動物をくるんで、扇風機ガンガンあててください。
火事に注意ですが、アルコールの消毒液があるならばそれで体にかけアルコールの気化熱で体温を下げることもあります。あくまでも水がないような状況ですが。
人間だとワキや股の付け根など動脈があるところに保冷剤をあてがえといいますが、動物もOKです。しかし、実際は毛が沢山あったり、動物が嫌がったり、ジッとしなかったりで難しいこともしばしばです。抑え込んでまでやる位ならば、やらないほうが無難です。
そして、いつまで冷やすのか? これは体温が40度を切り39.5度位になればやめるのがよいです。なぜなら、この位でやめないと体温が下がりすぎることが多いからです。
そもそも上で書いたように熱を測るのは難しいので、39.5度になったかなんか分かるか!と思うと思います。
単純に呼吸で見るのが一番良いかと思います。冷却処置が効いたならば、必ず、呼吸数が減りますし、呼吸音が静かになります。具体的に言うならば1分間に呼吸数が30回近くならば体温が下がっていると考えられます。
こうなったらいったん冷やすのをやめた方が無難です。
そして本人の状況を見て水を与えてください。ほぼ必ず飲むはずです。飲まないのならば、熱中症重度か、もしくは違う病気の疑い、単なる興奮だった可能性があります。こういう時が先ほどの動画撮影があとあと役に立ちます。
あくまでも自宅で対処できるのは初期~中期まで位で、重度になると自宅で対処はできませんが、やはり初期段階の対処が重要ですので、覚えておいてください。
ちなみに大型犬は熱中症の判断は要注意です。大型犬に多い、胃捻転という病気は熱中症にそっくりですのですので、出来る限り病院へ!です。
繰り返しですが熱中症になったら
①まず10秒ほど動画撮影(将来病院に行ったときに有効となる)
②冷やす
③呼吸が安定してから、初めて水を与える。食事は基本ダメ。
④できれば病院へ
こんな流れです。
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