先ほどスズメがネズミ捕りにくっついたという電話がありまして、どう対処するかをおはなしさせてもらいました。(基本的に当院は鳥類は診察はお断りしております。)
その時ふっと思い出したのが、すごかった患者さん。今まですごかった患者さんはたくさんおられますが、思い出深いものの一つが今回お話しする患者さんです。
それはこの患者さん。
プラティです。
熱帯魚好きな人にとっては非常にポピュラーなメダカ類の熱帯魚です。
アルカリ性を好み、水温は26度前後で、飼育も容易です。4㎝位の魚です。胎生で、かわいい赤ちゃんを産みます。中層で縦横無尽に泳ぎ、見ていても楽しいです。
写真はミッキーマウスプラティです。 尾っぽがミッキーマウスの柄をしてるから
そういう品種名で販売されています。
私がインターン時代、飼い主さんが急患だと言ってプラティと犬(キャバリア)を連れてこられました。
勤めていた先は熱帯魚を診察しません。 但し、私が熱帯魚好きだったため、私におはち
が回ってきました。同時に犬の診察も。
見るとプラティは犬の水を飲むための皿に入ってました。 プラティは弱ってふらふら。
水中で横になり、今にも死にそうになってました。
これはまずいなぁと思っていたら、飼い主さん驚きのことをおっしゃいました。
『庭で飼っていた犬が水を飲んだ後、急に吐いて、泡吹いている。
隣のおっさんが毒入れたんだと思って、飼っている熱帯魚を飲んだ水に入れたら
熱帯魚がひっくり返った! 毒が入っているんだぁああああ』
とのこと。
おお!この状況、まさに昔ドラマや漫画で見た毒物チェック。
毒の入った飲み物とかを探偵やらが水槽にいれたら、魚が死んで毒物が入っていたと証明するシーンじゃないか!
飼主さんはまさにそれをしたんです。
私はその発想におお!すごいと思いました。
飼主さんは隣のおじちゃんが犯人だということで『あの隣のおっさんは変わったやつで、ブツブツ…』さらに『早く犬の診察をしてくれ!魚はどうでもいいと!』と仰っておりました。
ワンちゃんを見ると緊急性はないと判断。魚も何とかしてあげようと考えました。同時に
毒物?も分かるかもしれないし。
プラティちゃんがひっくり返った理由を考えました。 というかすぐにわかりました。
飼主さんと看護婦さんに変な目で見られながら、プラティの入った皿を湯銭でゆっくり温めました。
すると30分ぐらいして、プラティは普通に泳ぎだしました。
そうです。水温のショック症状です。プラティという強靭な魚とはいえ、さすがに10度以上違う水にいきなり入れられたら弱ります。
犬は… 単純に直前に草食べて吐いただけでした。 来院時は吐いた直後で元気がなかったですが、プラティを温め終わったころには元気いっぱいで私にちょっかい出してくる始末。
結論。全部、飼い主さんとワンちゃんの自作自演。
飼主さんはプラティとワンちゃんと一緒に帰っていきました。事件解決。
あの時は獣医でなく、名探偵になった気分でした。 チャンチャン。
Commenti