少し涼しくなってきました。食欲もその分出てきてます。最近、飼い主さんから自作のシャインマスカットを頂きました。とてもおいしくて驚きました。言われないとお店で買ってきたのと思っちゃいます。 頂いた理由は飼育しているワンちゃんが食べてしまい、それを対処したのですが、そのお礼ということでした(ありがとうございます)。
こりゃ、これだけおいしければ、犬も食べますよと思わず思ってしまいました。
(ちなみにブドウは犬猫にとって非常に危険なものですが毒の原因は不明)
動物がいろいろ食べて対処することも多いですが、昔はなかったのに、このところ増えた異物は・・・『クッションマット』です。 ジョイントマットともいわれてて、ジクソーパズルのように組み合わせてひく、アレです。
動物にとって食感が肉っぽいんでしょうね。そして飼い主さんの匂いがついてるからでしょうか、ほんとよく食べます。 ドックフードキャットフードメーカーもいっそのことジョイントマット味のフードを作ったら売れるのじゃないかと思うぐらい。 逆にクッションマットメーカーは犬猫が嫌う味でもつけて売ったらいいんじゃないかと思います(子供のおもちゃに苦い味がついてるように)。
対処としては嘔吐させたり、内視鏡したり、手術ですが、厄介なのは少々診断がつきづらいことです。レントゲンにも映らない、超音波検査も100%でない、内視鏡検査でも100%でない、症状からの判断もわからないこともしばしば。 困った異物です。
一番のいい方法は当然、予防です。 クッションマットやめる。とくにご自宅に人間の赤ちゃんがいらっしゃるご家庭は使用してることも多いですので、ご注意されてください。
逆に昔ながらの定番としては『チョコレート』です。誤解を招くので書くべきではないですけど、これもまた現場の声なので書きますが・・・ ちょっと毒としてのイメージが強すぎるような気がします。チョコチップの入ったパンをたべたとか、チョコレートを一粒食べたとか。その程度なら、よほどの超小型犬(1kg未満)とかまず大丈夫です。あと、チョコ一粒といってもカカオ70%とかなんかややこしいのは別です。一般的な範囲内で。アーモンド丸ごと一つ入りチョコはアーモンドが問題。
チョコチップパンに関してはなんでも値上げ、ステルス値上げのこのご時世、一袋にパンが10本以上入ってるなんてないでしょうし、チョコチップびっしりのパンなんて皆無。あげく、常温でも溶けないチョコチップなんてチョコの成分もかなり少なめです。まず大丈夫です。 むしろその包装紙や入っていたビニールが心配です。
他に異物の定番として来てるのが薬の誤食。なかでも睡眠薬、精神安定薬です。私が動物に処方した薬を「この子は薬飲まない、どうやっても飲めない」と患者さんがよく言われるのですが、そんな癖に飼い主さんが使ってる薬を盗み食いする、あんたは一体何なんだと思いたくなる動物もいます。
人間の精神安定薬や睡眠薬は危険性はもちろん高いはずなんですが、動物への使用実績が少なかったり、なかったりで正確なことは言えません。ただ、死亡率だけを見るとなかなか結構な量を飲んでも低かったりします。 実際、動物に使用する際、人間のお医者さんも驚く
量を動物は飲まないと効かなかったりもします。それだけ動物へは効き目が低めなことが多いです。
薬の誤食に対してはとにかく、早めの処置です。嘔吐させるのが一番ですが、薬は溶けて吸収されるのが早いです。食べて遅くとも30分以内です。 ただ、30分以内で病院到着は難しいことが多いです。ですので、スピードも大事ですが、食べた時間と、何を何錠飲んだか、薬が入っていた容器を食べたかどうかを確実に覚えておく、持ってこれるなら同じものを持ってきていただくことの方が重要かもしれません。
以上はあくまでも私が臨床の現場で実感、体験したことです。毒性が飼い主さんが思ってるよりかはマシだと伝えたいだけです。とくにチョコ。なぜこれを書いたかというと、飼い主さんが極度に恐れてる方がおられるからです。チョコチップパンたべたから来院。嘔吐処置を実施しないこともあります。そのせいで飼い主さんが不安がられます。 ただ、嘔吐処置の方がチョコ中毒になるよりも嘔吐処置で異常が出る確率の方がまだ高いからしないのです。大丈夫なものに嘔吐処置して誤嚥させてしまったら目も当てられません。
まぁ異物誤食に関しては様々なケースがありますので、獣医師に相談していただければと思います。(これを書いてる最中に薬を誤食した犬がやってくると電話がありました。何の薬かは不明とのこと。こりゃ厄介です・・・)
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